ロンドン北東の郊外の町ランフォードのSTAR BREWERY(醸造所)が、看板ビール「ジョン・ブル」の宣伝用に作成した陶製の大型灰皿。グロス仕上げのつややかなバターイエローの地にロゴとトレードマークのジョン・ブルが描かれています。製作は陶磁器の老舗メーカー、WADE PDMで、WADEポタリー最終期にあたる1980年代後半から1990年代初頭の製造と推定されます。
灰皿の側面に描かれた「ジョン・ブル」は擬人化されたイングランドの象徴。低身長で太めの中年田舎紳士で、保守的な人物の典型として描写されています。アメリカを象徴するアンクル・サムとは異なり、権威はなく、しばしば嘲笑の対象にもなる点が(自分で自分を笑うことをむしろクールと考える傾向のある)イギリス人らしいですね。
スター・ブルワリーは1708年設立のたいへん古い醸造所で、1970年代から'80年代にかけて隆盛をきわめましたがその後は下り坂に。そして1993年、300年近い歴史に終止符を打ちました。醸造所の跡地は再開発され、2001年にショッピングセンター「ブルワリー」として生まれ変わったそうです。「ジョン・ブル」の名前は他のブルワリーに買い取られ、スター・ブルワリーと同様の製法でつくられた同じ名前のビールが近年出回るようになりました。
そんなわけでこの灰皿、製作と相前後して醸造所そのものが閉鎖になってしまったので、プロモーションに使われる機会はまったくなかったか、あってもほんの短期間だったと考えられます。また、現在イギリスはパブも含むすべての公共空間で喫煙が法規制されているため灰皿の需要はなく、こうした灰皿も二度と製作されることのない希少品と言えるかもしれません。
ほとんど使用された形跡のない新品同様のベストなコンディション(未使用のように見えますが使用済みとして販売します)。灰皿としてはもちろん、寝室の備品として腕時計や鍵の指定席に、書斎で文具入れになど幅広くご利用いただけます。
年代:推定1980年代後期〜'90年代初期
製造メーカー:WADE PDM(イングランド)
素材:陶器(グロス仕上げ)
デザイン:三角形灰皿(イエロー、JOHN BULL BITTER)
サイズ:[最大幅]約18cm [高さ]約4.5cm
Back Stamp:裏面に「WADE PDM」「ENGLAND」のプリント
コンディション:★★★★★(VGC:Very Good Condition)、ハンドクリーニング済み
梱包:簡易包装
「WADE pdm ENGLAND」のバックスタンプ
*「新品」「未使用」「NOS(New Old Stock)」などの特記のないものはすべてユーズドのヴィンテージ品です。「ユーズドのヴィンテージ品」にはみな一度はだれかの元で愛用されていた過去があり、新品とはコンディションが異なることをご理解のうえお買い求めください。特に気になるダメージについては各商品ページに書き出してありますが、もっと詳しく知りたい場合はフォームにてお問い合わせください(SOSN店長)。
【WADE(ウェイド)ポタリー】
WADEポタリーは1867年創業のストーク・オン・トレント(イングランド。古くから陶磁器の街として有名)の陶磁器製造業社。創業以来、WADE家の数家族がそれぞれ独自に経営する工房/工場でさまざまな陶磁器を製造していました。
1958年に初めてWADEポタリー有限会社の社名のもとに一つの企業となり、発展。イングランドだけでなく北アイルランドにも工場を持つほどに拡大しました。しか し、1980年代後半、先進的な経営者だったサー・ジョージとその息子が相次いで亡くなると往時の勢いは衰えてしまいます。そして1998年には別会社に売却へ。現在はWADEセラミックスの名前で陶磁器を製造しています。
WADEポタリーの製品は、アールデコ時代の装飾性の高い磁器やロンドン地下鉄のタイル、ビール醸造所の依頼による宣伝用陶磁器(パブで使用する灰皿等)やウィスキーボトルなど多岐にわたります。
なかでも1950年代から製造が始まった小さな磁器フィギュア&フィギュリン「WHIMSIEシ リーズ」「WHOPPAシリーズ」は特に人気が高く、これによってWADEはイングランドの陶磁器製造業者のなかで独自の地位を築きます。当初は子ども向 けのコレクションとして企画販売されたWHIMSIEシリーズですが、1点ずつ手彩色する丁寧な作りに世代を超えて人気が拡大。当時子どもだった人たちはもとより新しいファンも獲得し、いまでは世界中にコレクターがいます。